VW好決算、テスラ打倒には難題もPhoto:picture alliance/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、従来型車で健全な利益を出しているが、現在の株価に見合うためには、それ以上のものを示す必要がある。

 VWが6日発表した1-3月期(第1四半期)決算は、営業利益が48億ユーロとファクトセットのコンセンサス予想である約43億ユーロを上回った。また、営業利益率の通期見通しを5.5~7%のレンジに引き上げた。これはVWが半導体不足の影響を過度に受けていないことを裏付けるものだが、さほど意外性はなかった。ファクトセットによると、アナリストは既に平均で6.9%の営業利益率を予想していた。そのため、株価はほとんど動かなかった。

 VWの投資家は他のことに注目している。特に電動化戦略についてだ。同社はセダン「ID.3」とクロスオーバー「ID.4」を米電気自動車(EV)大手テスラの「モデル3」と「モデルY」の主要なライバル車として宣伝している。一般的な消費者のEVへの関心が高まる中、資本市場はとりわけ米国EVに期待をかけている。VWの普通株は、米国預託証券(ADR)がけん引する形で年初来54%高となっている。

 最近の調整後も、普通株は予想利益の約9倍で取引されている。これはテスラに比べれば非常に割安だが、「メルセデス」を傘下に持つダイムラーやBMWなどの地元の同業他社と比べれば高い。ダイムラーとBMWの株価は、その自動車ブランドと同様、従来プレミアムが付いている。VWの優先株(経済的には普通株と同一の証券で、欧州ではより広く取引されているが、米国では流動性が低い)はやや安いが、過去の評価水準を大きく上回っている。