米の物価上昇、全てが一過性とは限らずPhoto:Scott Olson/gettyimages

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

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 4月の米消費者物価指数(CPI)の急上昇は衝撃的だった。食料品とエネルギー品目を除いたコアのインフレ率は前月比0.9%上昇。1981年以来の大幅な伸びとなり、市場関係者の予想の3倍余りに達した。5日前に発表された4月の米雇用統計の伸び鈍化と同じく予想外の結果となった。

 前年同月比ではコアインフレ率は3%上昇し、1995年以来の高水準をつけた。2020年4月は新型コロナウイルス感染拡大の影響で物価が大きく落ち込んだため、「ベース効果」もあった。だが、3月から4月にかけての上昇は、ベース効果では説明できない。

 4月の雇用の伸び鈍化と大幅な物価上昇が示すのは、ワクチン接種や景気刺激策の現金給付、低金利で勢いづいた需要の回復と、供給停滞の重なりだ。

 その一部は明らかに一過性のもので、経済活動が完全に再開されれば元に戻る。現時点ではどの程度かは分からないが、少なくとも一部は一過性ではない兆候も見られる。

 三つの広範なトレンドが明白になっている。航空運賃と中古車、レストランメニューが象徴的だ。