例えば5月10日に決算を発表したパナソニックが3割近い今期の最終増益計画を示したものの、市場予想には届かず、翌日の株価は前日比6%安と売り込まれた。

 阪上氏は日本企業全体で見ても、「今期の会社計画は保守的に見積もる企業が多い印象」と話す。実際、JPモルガン証券の集計では、7日時点で東証1部上場企業の21年度の予想増益率(経常利益)は会社計画が38.5%。市場予想(43.9%)と開きがある。

 とはいっても、保守的な会社計画は投資戦略を考えると悪い話ではない。業績相場という環境下で今後焦点となるのは、21年度第1四半期決算での利益の進捗率だが、「慎重姿勢を崩したくないという理由で保守的な会社計画を出している会社は、第1四半期に計画対比の業績が上振れする可能性が高い」
(阪上氏)からだ。

 相場全体で見ても、「緊急事態宣言が解除されて経済再開期待が高まったり、企業業績が上方修正されたりすることで、日経平均株価は再び3万円超に上昇する」(みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジスト)と、業績改善が日本株を底上げするとの声が聞かれる。

 それでも、これから株式投資に挑む際、気を付けたい点もある。特に米国では、これまで株高をけん引してきたGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などの大型ハイテク株に割高感が強まり、好決算をたたき出しても株価がほとんど反応しないケースが散見された。

 このため大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは、米企業業績は今後さらなる改善が期待できるとしつつ、「目先は景気回復の恩恵を受けやすい景気敏感系の銘柄の方が株価の上振れ余地は大きい」と分析する。例えば景気敏感株の代表格の一つである米建機キャタピラーは、4月末に好決算を発表後、株価は上昇傾向だ。

 金利上昇や米政権の増税、地政学リスクなど株価を冷やしかねない材料も常にくすぶるが、業績相場において最後にものをいうのは、企業ごとの業績動向。本特集では、最新決算も踏まえ日米の「最強株」を徹底的に取り上げたので、大いに銘柄選びの参考にしてほしい。