帝国データバンクが5月13日に発表した2021年4月の全国企業倒産(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は、前年同月比35.5%減の489件となり、2020年8月以降9カ月連続で前年同月を下回った。今後もコロナ対策の中小企業向け各種支援策によって倒産は抑制され続けると考える人は多いかもしれないが、5月以降の倒産は増加基調に転じる可能性が極めて高くなっている。(帝国データバンク情報部 阿部成伸)
企業倒産の増加傾向が
明確になるのは8月以降か
5月以降、倒産が増加基調に転じる大きな理由は、各種支援策によって昨年5月以降の倒産が大きく抑制されてきたことにある。なかでも昨年5月は国内初の緊急事態宣言発出に伴い倒産手続きに不可欠な弁護士事務所、裁判所の業務までもが大幅に縮小され、先延ばしとなってしまう案件が多数発生する異例の事態となった。
その結果、昨年5月の倒産件数は単月として、2000年以降で最少となる288件(2020年5月は648件)を記録。現在、3度目の緊急事態宣言下ではあるものの、全国的な発出ではないことや弁護士事務所や裁判所において、昨年と同じような業務縮小の動きが見られないことから、288件を下回る可能性は極めて低い。よって、今年5月の倒産件数は10カ月ぶりに前年同月を上回る見通しだ。