テレビでもおなじみの齋藤孝 明治大学文学部教授と、今秋から朝の情報番組MCに就任することが大きな話題となっている安住紳一郎 TBSアナウンサー。TBS『新・情報7days ニュースキャスター』で司会者とコメンテーターとして共演しているふたりは、かつて明治大で先生と生徒の師弟関係にあった。中学・高校の国語科教員免許を持つ安住アナは当時、明治大の教職課程で齋藤孝先生の授業を受けていたのだ。
いまや日本屈指の話し手であるふたりが、『話すチカラ』について縦横無尽に語り尽くす。齋藤孝ゼミの現役明大生を前に、安住アナが長時間にわたり熱弁をふるった白熱教室も収録。“国語科オタク”を自認する安住アナの日本語へのディープなこだわりは必読だ。
学生からビジネスパーソン、主婦まで、日ごろの雑談からスピーチ、プレゼンまで楽しくなるマンガ版『マンガでわかる 話すチカラ』は、口下手な女子大学生が、齋藤孝教授と安住紳一郎アナの指導のもと、実は話し方にはコツがあることを知り、「苦手」を乗りこえていくというオリジナルのストーリーで、さらにわかりやすく最高峰の話す技術が身につく!
(こちらは2020年3月7日付け記事を再掲載したものです)
「たとえ」は
できるだけ
具体的にする
話をするとき、「たとえ」は非常に大事です。
何かにたとえると、相手の理解が格段にスムーズになります。
その証拠に、あの『聖書』も全編を通じてたとえ話で埋め尽くされています。
たとえるときは、できるだけ具体的にすべきです。
「ビールを飲んだときのような爽快感」よりも「スーパードライを飲んだときの、あの気持ち」のほうがイメージが明確になります。
ビジュアルでたとえるのも1つの方法です。
「本が部屋中にたくさんある」よりも「ジャパネットたかたで電子辞書を売っているときみたいですね」のほうが、聞き手の視覚的なイメージがわきやすくなります。
陳腐なたとえしか思いつかないときは、あえて逆にイメージしにくいほうへ、ひと捻りしてみます。
私は、高級なシュークリームを紹介するとき「東京から習志野までの電車賃くらいのシュークリームです」などと言うことがあります。
あえて少しわかりづらい表現をして、人の気を引こうとするのです。もう必死です(笑)。
さらにもう少しイメージしてもらいたいなら、思い切ってモノマネをする手もあります。
かつて私はテレビのロケで、たまたま目に入った帽子が、どことなくスポーツの審判員が着用する帽子に似ていると感じ、とっさに競艇の審判員のモノマネをしたことがあります。
そのモノマネが似ているかどうかは、二の次です。むしろ、あまり似すぎると嫌みっぽくなります。
むしろ大切なのは、思い切りのよさ。モノマネに躊躇している雰囲気が伝わると、空気がシラけるからです。
たとえば「電車の車掌さんみたいですね」と言ったあと、間を置かずに車掌さんの口調を真似て「次は……四ツ谷、四ツ谷です」と言ってみる。このチャレンジ精神こそが大切です。
特に明大生は(笑)。
真似できそうな人やシチュエーションを見つけたら、こっそり練習しておきましょう。
そのちょっとした練習が、いつかどこかで大ホームランにつながります。
(次回に続く)