アジアの先進国と比べると日本は劣等生
島国ならではの対策を怠った結果だ

 下図は台湾、ニュージーランド、オーストラリア、韓国と日本を比べたものだ(この図は、原田泰『「ゼロコロナ」をほぼ実現すれば、経済活動は元通りにできるのか』2021.3.25でも用いたグラフを改訂したものである)。

 これを見ると、日本は決して成績が良いとはいえない。台湾が特別の優等生であることは知られているが(台湾はグラフが見えなくなってしまうので、10倍にした数値を示している。最近は台湾でも感染が再拡大しており、この感染症の困難さを象徴している)、日本はこの5つの国・地域中では劣等生となる。

 そもそも、ニュージーランドやオーストラリアも、南米や南欧ほどではないが、握手&ハグ&キスの文化である。もちろん、英語を話す。台湾人も、p、t、kに加えてq、c、chで息を強く吐き出す。台湾と韓国はBCG接種をしているが、ニュージーランドとオーストラリアはしていない。

 日本が劣等生ということは、これら4カ国はG7と比べての超優等生ということになる。

 では、何がこれら4カ国(日本を含めて5カ国)の特徴かといえば、島国であるということだ。オーストラリアは大陸だが島国、韓国も北朝鮮との軍事境界線で遮断されているので島国とみなすことができる。

 島国であれば、感染者を入国させなければ、感染が広がることはない。台湾、ニュージーランド、オーストラリア、韓国、日本の順に入国規制が厳しかった。なお上図には、各国が入国禁止措置を取った日付も示している。

 台湾は2020年2月6日に対中国の、3月19日に対世界の入国禁止措置を取ったのに対し、ニュージーランドが対中国、対世界への入国禁止措置を取ったのは3月19日、オーストラリアは3月20日、韓国は3月29日、日本は4月3日である。そして、この順と逆の順に感染者数が多い。

 日本はG7と比べて優等生であると自認し、または、ファクターXでよく分からないがコロナに強い国民と思っていたようだが、それは島国という検疫に有利な体制のたまものにすぎなかったのではないか。