禁煙20分後から体に変化
15年で病気のリスクが非喫煙者並みに

 さて、あなたが今日から禁煙した場合、何が起こるのだろうか。

 再びWHOの世界禁煙デーのページを見てみよう。同ページには「禁煙を勧める100以上の理由」も掲載されているので、時間があるときにのぞいてみてほしい。(https://www.who.int/news-room/spotlight/more-than-100-reasons-to-quit-tobacco http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/essay/WHO20210222.pdf〈日本禁煙学会による日本語訳〉)

 まず、20分以内に心拍数と血圧が低下し、12時間後には血中の一酸化濃度が正常に戻る。続く2~12週間のうちに血行が改善し、肺機能が高まる。数カ月もすれば、せきや息切れなどの呼吸器症状が減少してくるだろう。

 そして禁煙1年後、心筋梗塞リスクが現・喫煙者の半分に低下し、5年目以降は、年を追って脳卒中リスクが非喫煙者並みに改善される。肺がんのリスクの低下は少し時間がかかるが、禁煙10年で現・喫煙者の半分に低下する。

 さらに15年もすれば、これらの病気のリスクが非喫煙者並みに低下する。喫煙による健康リスクはCOVID-19に限らず、将来、重大な病気を発症したときほど身にしみるはずだ。

「当センターでは、シニア世代と働く世代向けにWithコロナ長期戦に向けた健康生活を学ぶ動画を作成しています(https://healthprom.jadecom.or.jp/documents/#actv_01-02-01)。働く世代版では、コロナ禍での運動、食事、お酒、心の健康に加え、たばこと感染症と喫煙の関係、受動喫煙リスクなどをアニメーションでわかりやすく解説しました。禁煙は健康面の効果だけでなく、生活の質や幸福度を高めることがわかっています。正しい情報を学び、ぜひ禁煙にチャレンジしてください」(中村センター長)

 禁煙するなら、家族の理解と応援が確実に望める今である。

監修/公益社団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター
センター長 中村正和 医師


1980年自治医科大学卒業。労働衛生コンサルタント、日本公衆衛生学会認定専門家、厚生科学審議会専門委員。専門は予防医学、健康教育、公衆衛生学。研究テーマはたばこ対策とNCD(生活習慣病)対策。厚労科研研究班代表者としてたばこ政策研究に従事し、禁煙治療の保険適用、たばこ価格政策、健康日本21における喫煙の数値目標の設定、特定健診における禁煙支援の強化などの政策実現に関わる。