米国の医学誌NEJMで発表された論文によれば、現在喫煙している人、および過去に喫煙していた人が新型コロナウイルスに罹患した場合、重症化リスクは非喫煙者と比べて2倍、人工呼吸器装着や死亡のリスクは3倍高いことが明らかとなった。紙巻きたばこだけでなく、流行の加熱式たばこを愛用している人も要注意だ。(フリーライター さとうあつこ)
紙巻きたばこをやめたい人たちが
「加熱式たばこ」に移行
マスクを手に入れるより先に、やるべきことがあるかもしれない――。
米国の医学誌『The New England Journal of Medicine(2020年2月28 日)』に発表された論文※1によれば、現在喫煙している人、および過去に喫煙していた人が新型コロナウイルスに罹患した場合、重症化リスクは非喫煙者と比べて2倍、人工呼吸器装着や死亡のリスクは3倍高いという。
喫煙が「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」、別名「たばこ肺」を引き起こすことはよく知られる。気管支や肺胞に炎症が起こり、やがて肺胞が破壊されて肺が機能しなくなってしまう疾患だ。たばこを吸っているとCOPDだけでなく、気管支ぜんそくや肺結核、さらに肺炎にもかかりやすくなる。加えて、喫煙はがんや虚血性心疾患、脳梗塞の原因にもなる。喫煙が原因のがん、循環器疾患、呼吸器疾患で死亡する人は年間12万~13万人※2,3,4年間死亡者数全体の1割を占めている。新型肺炎の死亡者数どころではない。
禁煙運動が活発化する時代、たばこを吸う人はさすがに減りつつある。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、喫煙習慣のある男性は平成元年には55.3%と半数以上だったが、平成30年では29%と3人に1人。健康上の理由はもちろんだが、「女性ウケが悪い」「おじさんっぽい」「かっこ悪い」といったネガティブなイメージも影響しているのかもしれない。
問題は「紙巻きたばこはさすがに健康に悪そうだし、やめようか」と思った人々が、今続々と「加熱式たばこ」にハマっていることだ。