FRBの政策、次の米雇用統計が左右するかPhoto:Caroline Brehman/gettyimages

【ワシントン】6月4日に発表される5月の米雇用統計は、これまで1年以上にわたって米経済と市場を支えてきた金融緩和からの出口政策を模索する米連邦準備制度理事会(FRB)にとって、転換点となりそうだ。

 5月分の雇用統計は、中銀当局者が現在注視している二つの重要な問いについて、理解を深める助けとなるだろう。その一つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大で失われた雇用を、米労働市場がどれほど迅速に回復するのかというものだ。二つ目は、最近のインフレ率上昇の要因になっている供給面の障害に緩和の兆候が見られるのか、というものである。

 これらの問いに対する答えは、FRBが債券の大量購入プログラムをいつ縮小させ始めるのか、FRBが将来の利上げに関しどう考えるのかとの観点を判断する手助けになる。

 政策立案者たちの予想では、今年の春から夏にかけて労働市場が急回復し、それに伴ってインフレ率が穏やかに上昇する。こうしたシナリオが実現すれば、FRBによる段階的かつ予想可能なやり方での金融引き締めが可能になると、当局者らは期待している。しかし、そううまくいくとは限らない。2013年には、金融緩和策の縮小が検討されただけで、米債券市場でテーパータントラム(当時のFRB議長のベン・バーナンキ氏が量的緩和縮小を示唆し、金融市場が動揺したこと)として知られる混乱が起きた。