米債にひそむ安全・高利回りの「Iボンド」とはPhoto:Drew Angerer/gettyimages

――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

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 ゲームストップなどの「ミーム」株や暗号資産の投機的な取引を行ってきた投資家はしばらく前から、利益が10倍になった、100倍に増えたと自慢しているが、大したことはない。

 1回の投資で利益が177倍になる方法を紹介しよう。銀行口座の現金を米国の物価連動貯蓄国債(Iボンド)に移せばいい。銀行口座で稼げるのはおそらく0.02%程度だが、Iボンドの利回りは年換算で3.54%だ。株や暗号資産をやみくもに取引するのとは違って、Iボンドを買ってもほとんどリスクはない。税金面でも非常に有利だ。

「ただ飯はない」と経済学者は言うが、Iボンドは元本と物価上昇分の支払いを米国政府が保証している。ただし、食べ放題ではない。購入額の上限は口座名義人1人につき年間1万ドル(約109万円)だ(Iボンドによる税金の還付を選択した場合は当てはらまない)。

 皮肉なことだが、収入が少なく、投資できる資金が少ないほど、Iボンドは強力なツールになる。残念ながらベゾス氏の役にはあまり立たないだろう。

 今は利回りが干上がっており、マネー・マーケット・ファンド(MMF)で0.02%、銀行の貯蓄口座で0.13%、3カ月物の財務省短期証券で0.15%、30年物の米国債でもたった2.25%だ。Iボンドはリターンが大きく、リスクがはるかに高い主要ハイイールド(ジャンク)債ファンドの利回りをわずかに下回る水準にある。