最近、中国で、ザリガニがよく食べられている。ザリガニのシーズンは5月から8月といわれ、この時期は屋外でビールを飲みながら、ザリガニを食べるという光景を見かけるようになった。ビールのつまみといえば、これまでは枝豆がポピュラーで、ザリガニは人によって好き嫌いがある食べ物だったのに、なぜ人気になっているのか。その背景を探った。(フリーライター 吉田陽介)
「ザリガニは汚い」
好き嫌いがあるザリガニ
日本人にとってザリガニは食べ物ではないが、中国ではれっきとした食べ物だ。
筆者は、中国生活を始めたばかりの頃は腹でも壊したら大変だからと敬遠していたのだが、日本と韓国の友人に連れられて食べに行ったことがある。
ザリガニには寄生虫がいるため、頭からガブリとかぶりつくわけにはいかない。手で殻を取って、中の肉を食べる。食べる時は、店で渡されたビニールの手袋をつけてひたすら殻を取る。肝心の味は、悪くはなかったが、山椒などの調味料の味が強かったのを覚えている。
その後、中国人の友人と一般的な中国料理のレストランで食事したとき、店員は「当店のオススメです」と言ってザリガニ料理を勧めてきた。友人が食べるなら付き合おうと思っていたが、友人は顔をしかめて「いらない」と言って注文しなかった。
友人によると、ザリガニは泥の中に生きているので汚いからだという。筆者の周りの中国人の友人で、ザリガニを頼む人は多くない。
その一方で、筆者が勤務する大学で勉強する湖北省出身の学生はよく食べるそうだ。彼らの故郷では、夏は至る所でザリガニを食べる人が少なくないそうだ。それもそのはず、湖北省は中国でも有数のザリガニ消費地だ。
それに対し、北京ではあまり食べられない。前出の中国人の友人は北の地方の出身なので、ザリガニにはあまり親しみを感じないのだろう。