環境問題への視座を高め
各国の歴史文化を理解する
2021年5月、ユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)の諮問機関が、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)の世界自然遺産への登録と、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録がそれぞれふさわしいとする勧告をまとめた。我が国にとって新たに2つの世界遺産が加わる見通しとなり、日本国内の世界遺産は、合計で25(文化遺産20、自然遺産5)になる。
筆者は、国内外の世界遺産を数多く訪問する機会に恵まれ、その美しさや歴史的な意義に深く感銘を受けた。今回の世界遺産決定について、大変うれしく思う。
一方で、日本では世界遺産の登録合戦が各地域で繰り広げられ、登録が決定すると地元が喜ぶといった流れが繰り返されるばかりで、大事な視点が抜け落ちているように感じる。
世界遺産には、
・地球の歴史を知り環境問題への視座を高める
・世界各地の歴史や文化への敬意を認識する
・過去の「負の歴史」を反省する
など、グローバルにビジネスを展開する際のヒントが多数含まれている。
今回は、自治体関係者や観光関係者以外の、一般ビジネスパーソン向けに、世界遺産の意義やビジネスに生かすヒントについて、とりわけ今注目されるSDGs(国連の定める持続可能な開発目標)経営のヒントになるよう考察したい。