欧州を中心に機関投資家が気候変動対策を強烈に迫るESG投資は、日本銀行の金融政策にも及ぶかもしれない。特集『SDGsの裏側』(全6回)の最終回では、日銀の動き、そしてコロナ危機の影響を探った。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
世界最大規模の機関投資家であるGPIF
その最高投資責任者が危機感をあおった
「日本は気候変動対策にやる気がないと世界から思われている」
2019年7月、都内で開かれた気候変動とエネルギー政策に関するイベントでこう言い放ち、危機感をあおった男がいる。159兆円の運用資産を誇る世界最大規模の機関投資家、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道・理事兼最高投資責任者(3月末で退任)である。
水野氏は、環境、社会、企業統治の三つの観点を重視する「ESG投資」に日本で火を付け、けん引してきた。