SDGsの裏側 #1
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国連加盟国が達成を目指す「SDGs」(持続可能な開発目標)。世界が一致団結して地球上の課題を克服しようという、その理念や目標は美しい。しかし、裏にあるのは覇権争い。欧州はルールメーカーになって「気候変動対策」の必要性を前面に打ち出し、世界経済の主導権を握ろうとしている。日本の経済界はこれに従うのか否か。特集『SDGsの裏側』(全6回)の#1では、財界トップである中西宏明・経団連会長、日立製作所会長の直撃インタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

【SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは】
▼「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。30年までに国連加盟193カ国が、17の目標の達成を目指す。
▼その目標は「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」など。

経済成長と環境問題解決、同時の両立
欧州が「ちょっと待て」

――国別のSDGs達成度ランキングでは、日本は現在15位です。日本の現状の取り組みをどのように認識していますか。

 マルチステークホルダーキャピタリズム、つまり企業がもうけるだけじゃなくて、社会についても考えるという点で、日本は世界の中でもけっこう進んでいます。日本が打ち出した「Society5.0」は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用してさまざまな課題の解決を目指す超スマート社会です。スマートファクトリーを目指すドイツ発の「Industry4.0」よりも進んでいると思います。

 昨今、一番ごちゃごちゃしているのは、気候変動に対する取り組みです。世界の共通認識が大きく変わっちゃったんですよね。特に欧州を中心に気候変動対策を最優先すべきだという動きが激しくなっている。

 もともと日本は、経済成長も環境問題の解決も同時に実現していくべきものだ、という考え方を一貫して持っていました。

 それに対して、欧州が「ちょっと待て」と疑問を呈しました。「地球温暖化が進めば、地球に住めなくなる。そうなると経済成長なんて、そもそもないんじゃないの?」と。その危機感から、経済成長より環境問題への対処を優先しようという向きが、欧州を中心に非常に強くなってきた。

 今、経済成長と環境問題への対応を同時に両立させると言っていると、世界からは「ちょっとあなた分かってないね」と言われてしまう。日本の気候変動対策への姿勢が問われていると思います。

――SDGsというのは、もともとルールメーカーである欧州が繰り出した一種のゲームだと認識しています。日本はSDGsの取り組みが遅れているともいわれますが、欧州主導のゲームの中で日本はどう戦っていくのでしょうか。