1億円の認知コストで
10億円の利益

 これにより売上はそのまま、コストを下げて利益を10倍にする。

 これはネット広告のように、ターゲットセグメント機能にすぐれている手法があるからできることだ。

 図表36を見れば、「商品は知らない」がほめ言葉という意味がわかるだろう。

 私に「『北の達人』という社名は聞くけれど、おたくの商品は知らない」と言った人は、図表36の逆三角形の中の黒いゾーンの人なのだ。

 これを10ジャンル(商品)に展開すれば、1億円の認知コストで10億円の利益を上げられる(本書 図表37)。

人口減少、ネット全盛の時代に<br />利益を10倍にするために<br />売上10倍ではなく<br />コストを10分の1にすべき理由とその方法図表37

 広告に携わる人の中には、「広告は嫌われている」と思っている人がいる。

「テレビCMはスキップされる」「ネットで広告が表示されると、うっとうしいと言われる」などと嘆くクリエイターもいる。

 そういった人たちには、なぜうっとうしいと思われるのかを考えてほしい。

 商品ターゲット外の人に伝えているから、うっとうしいと思われるのではないか。

 消費者にとって自分に関係のある商品広告は有益な情報だ。

 ただし、これができるかどうかは商品の性質と関係する。

「北の達人」は「お客様の悩みごとを解決する」ニッチな商品を複数展開している。

 多くの人に気に入ってもらう商品ではなく、特定の悩みを抱える人なら高確率で購買される商品をつくってきた。

 たとえば、オリゴ糖からつくった健康食品は、発売当初、「妊娠」「便秘」とキーワード検索した人の100人に一人が買っていた。

 検索した人の10%が広告をクリックし、ページにきた人の10%は購入した。

 購入確率の高い人だけに広告を配信する。

 ネット通販はターゲットを絞り込んで展開できるので、比較的CPOが低い。

 テレビCMを打たないかという話はたくさんあるが、CPOが高いので当面やるつもりはない。