世界のタイヤ市場シェアで第5位の伊ピレリは昨年、世界最高峰の自動車レースである「F1」におけるタイヤのオフィシャル・サプライヤーとしても有名になった。ピレリ ジャパンのマルコ・エッリ社長にF1参戦の狙いと、日本市場での販売戦略を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)
Photo:DW
――過去には仏ミシュランやブリヂストンもF1に参戦していたが、ルール変更や費用対効果の面から2011年~2013年の3年間はピレリによる単独供給となった。F1に参戦する狙いはなにか。
ピレリは140年の歴史のなかで100年以上、モータースポーツを行っている。モータースポーツへの参戦は「走る実験室」として位置づけられ、さまざまな先進テクノロジーを開発・熟成するテストフィールドの意味合いを持つ。
F1やWRC(世界ラリー選手権)など、それぞれのレースで得たタイヤの情報は一般タイヤの開発にもフィードバックされ、ピレリが強みとするハイパフォーマンス(高性能)タイヤを生み出すのに役立っている。
活動にある程度コストはかかるが、企業イメージの向上にも大きなメリットをもたらしている。近年はアジアのいくつかの国でもF1が開催されるようになり、新市場を開拓してく上で、ブランドの認知・浸透にとても効果的だ。特にシンガポールGPはモナコの次に世界的にも人気があり、中国でも若者の間でF1ファンが増えている。
――日本でピレリと言えば、高級タイヤのイメージが強い。
日本市場に参入したのは1971年。当時、日本はスーパーカーブームで、ピレリはランボルギーニやフェラーリ、ポルシェに装着されている言わば「憧れのタイヤ」だった。