強権的なコロナ封じ成功で広がる「強い指導者」求める機運、揺らぐ民主主義Photo:Kevin Frayer/gettyimages

「強い指導者国家」への支持の広がり
中国のコロナ封じの“成功”で加速

 最近、全世界的な傾向として、「強い指導者」が望ましいと考える人が増えているという。

 欧米における安全保障関係会議の中で最も権威ある会議の一つである「ミュンヘン安全保障会議(Munich Security Conference Foundation)」が公表した「世界価値観調査」(2017)によると、過去20年(1995~1997→2010~2014)の間に、国家の統治のあり方として、「議会や選挙に煩わされる必要のない強い指導者による統治の方が望ましい」と考える人が世界中で増えているそうだ(図表1)。

 その傾向は旧東側諸国や新興国でより顕著だが、北米や西欧のような成熟した民主主義国でもその傾向が見て取れるという。

 そんな中、新型コロナウイルス(Covid-19)によるパンデミックで、西側民主主義諸国が感染拡大に苦しむ一方で、中国など、お世辞にも民主主義国家とはいえない権威主義国家が強権的手段で感染抑制に成功していることで、「強い指導者国家」を支持する傾向はさらに世界的に拡大している。