習近平国家主席はコロナ危機を積極的に活用し、外交政策を進めている Photo:Pool/gettyimages

お友達外交の一環として
世界各地で“コロナ外交”

 コロナショックが世界を震撼させている。

 これまでも検証してきたが(過去記事参照)、中国共産党の基本的な戦略は、(1)国内での感染、死亡件数を早急かつ大胆に抑え込み、(2)国民の間で広まりうる社会不安、経済へ与えうる悪影響を最小限に食い止めた上で、(3)積極的に“コロナ外交”を展開し、対外的影響力と対内的正統性を正比例的に強化していくことである。

 結果的に、世界各国の政府や人々に「中国こそが味方だ」と、中国人民には「私たちこそが最も幸せだ」と認識してもらい、その過程で、湖北省武漢市で最初に発生した案件に対する初動の遅れや情報の隠蔽、操作など「習近平一強体制」が根本的原因で生じた問題に関しては、可能な限りカモフラージュすることだ。

「習近平に権力が集中しすぎていることが原因で、現場が硬直し、柔軟な対応が取れず、結果的に問題をより深刻に、複雑にしてしまうこともある。しかし、問題が発生した原因を“そこ”に求めることは、私たちの業界でも目下最大のタブーだ」

 中国外交部で対米関係を担当する中堅幹部は筆者にこう語る。対外関係を担当する部署を中心に、中国から発生し、まん延していったコロナショックによって、党の核心である習近平総書記(以下敬称略)に国際社会からの批判の矛先が向かないように、必死につじつまを合わせ、この危機を契機に国際社会が習近平が掲げる「人類運命共同体」の支持者に転化するよう、奔走しているように見受けられる。

 中国政府の発表によれば、3月22日の時点で、中国はすでに82の国家や国際組織に援助を表明している。21日、習近平がフランス、ドイツ、スペインの首脳とそれぞれ電話会談をし、慰問や支援を表明し、共に戦っていく意思や体勢を呼びかけている。さらに同日、中国政府はセルビアに、23日にはカンボジアに対して医療専門家チームを派遣した。コロナ外交は当分の間、大胆に展開されることであろう。習近平の「お友達外交」(中国の特色ある大国外交)の一環である。