2015年、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、向こう2~3年以内に自動運転車で「どこにでも」運転していけるようになるだろうと述べた。2016年、米配車大手リフトのジョン・ジマーCEOは、2025年までには車の所有が「終わる」だろうと予測した。2018年、自動運転車を開発するウェイモのジョン・クラフチックCEOは、自律走行するロボットカーの登場は予想よりも時間がかかるだろうとくぎを刺した。2021年、一部の専門家は、個人がハンドルのない自律走行車を購入できる日が果たして来るのか、確信を持てずにいる。投資家やCEOらとは対照的に、人工知能(AI)やシステム工学、自動運転技術の研究者らは以前から、完全自動運転車の開発には何年も(恐らく数十年)かかる可能性があると述べてきた。だが今や、投資額は800億ドル(約8兆7700億円)を突破しているにもかかわらず、約束されたような自動運転車には決してお目にかかれない可能性を指摘する人たちさえいる。少なくともAIの飛躍的な進歩なくしては不可能で、それがすぐに起こることを予想する人はほぼ誰もいない。そうでなければ、都市設計を完全に見直すしかない。