【ワシントン】ジョー・バイデン米大統領は、就任後初の外遊となる欧州歴訪で、台頭する独裁政権の脅威に対し、民主主義国家として結束して対抗するよう呼びかける考えだ。
バイデン氏はかねて、米国の同盟国との関係強化を求めてきた。8日間にわたる今回の欧州訪問では、第2次世界大戦以降に構築されてきた米国主導の西側のリベラルな秩序の優位性を訴えることが重要課題の1つとなる。バイデン氏は訪問先で、この秩序を支えてきた主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)の首脳や北大西洋条約機構(NATO)指導部と会談する予定だ。
背景には、世界各地で影響力を増し、世界最大の経済国である米国から覇権を奪おうとする中国の存在がある。中国は新型コロナウイルス禍をいち早く克服して景気回復を果たしており、世界のほとんどの国・地域にとって主要な貿易相手だ。中国の習近平国家主席は2月、バイデン氏と2時間にわたり行った電話会談で、米国を抜き世界最強の国家となる考えを誇示した。会談の内容に詳しい複数の関係筋が明らかにした。
一方、ロシアはドイツなど欧州諸国への主要なガス輸出国で、足元ではウクライナ国境付近で軍備増強に動いている。
バイデン氏は先月、バージニア州ハンプトンの米軍基地で行った演説で「われわれは今、民主主義と独裁主義の戦いのさなかにある」とし、「世界が複雑になればなるほど、民主国家が連携してコンセンサスを得るのが難しくなる」と述べていた。