自動車業界を一変させるテクノロジーのトレンドから逃れられないのなら、フェラーリはそれをリードする必要があるだろう。これは、同社の最高経営責任者(CEO)にベネデット・ビーニャ氏を選んだジョン・エルカン会長の異例の人事から伝わる、メッセージの一つだ。CEO人事を巡っては、9日に発表されるまで何カ月も憶測を呼んでいた。ビーニャ氏は、欧州の半導体大手STマイクロエレクトロニクスに26年間勤務し、同社ではスマートフォンの画面の向きを回転させる「ジャイロセンサー」事業の立ち上げで特に中心的な役割を果たした。エルカン氏は、フェラーリにはテクノロジーが重要だと強調してきたが、取り沙汰されたCEO候補者はフランスとイタリアの高級品業界に集中していた。セルジオ・マルキオンネ元CEOが発揮した手腕の一つは、フェラーリが自動車メーカーというより高級品メーカーとして評価されるべきだと金融市場に納得させることだった。新CEOはその路線をさらに進めるのではないかというのが一部の見方だった。