近年、中学受験では「大学付属校」人気が高まり、激戦となっています。2021年入試でも、大学付属校の難化傾向が目立ちました。そんな中で「早慶GMARCH」「関関同立」をはじめとする、人気の「付属中学」の合格を勝ち取るにはどうすればいいのでしょうか?
「御三家をはじめとする進学校と同じ対策をしていてはダメ」というのは、「中学受験 大学付属校合格バイブル」の著者で、早慶をはじめとする大学付属校専門の中学受験塾を経営されている野田英夫氏。実は大学付属校の入試問題には、基本的な問題が多く進学校のような難問が少ないので、付属校に特化した対策をすれば偏差値が足りていない子でも逆転合格がかないやすいのです。
発売即重版となった本書から、知られざる付属校受験の実態や、合格のためのノウハウの一部をお伝えしていきます。
大学付属校は「過去問対策」が効きやすい
大手進学塾に通っている多くの受験生が、勉強が終わらず深夜0時過ぎまで勉強していると聞きます。難関校を含めたオールラウンドな実力をつけるためにはこのくらいの勉強量が必要だからでしょう。しかし、私の塾の子たちは、勉強のほとんどを塾の自習室で済ませ、夜10時半には(遅くても11時には必ず)寝ています。志望校の出題傾向を知っておけば「無駄のない効率的な勉強」をすることができるからです。問われやすい単元を、重点的に攻略しておくことができるのです。これは大きなアドバンテージです。
たとえば単に「図形」といっても、平面図形が出やすいのか、立体図形が出やすいのか。立体図形が出やすいなら、表面積か体積か展開図かなど、学校によって傾向があります。たとえ苦手な単元でも、出ると予測がつけば練習を重ねることができます。
また、「出題傾向が変わらない」というのも、付属校の大きな特徴です。つまり、毎年似たような問題が出やすいということです。これは進学校との大きな違いです。
進学校、特に難関進学校になると、毎年「初見の問題」に遭遇したり、出題傾向が大きく変わったりします。このような「いままでに解いたことのない問題に対処できるか」も、難関進学校が生徒に求める能力の一つだからです。付属校入試には、このような対応は求められていませんから、「様々な問題形式に対応する訓練」は、する必要がありません。本書でも多くを割いて過去問の使い方をご説明しているのは、そのためです。付属校は繰り返し過去問を解いて、その出題傾向を体で覚えることが、合格への近道なのです。
入試問題は、その学校の先生が作成している
当たり前のことですが、入試問題はその学校に勤める先生が作成しています。私立は公立と違い、決まった期間での異動がありません。そのため、その学校で何年、何十年と教鞭をとる先生がいます。3~5年で、担当の作問者は変更となりますが、「出題傾向を変える」という方針がない限り、まったく違った問題にはなりにくいのです。
私が本書で述べている付属校は、長い歴史の荒波をくぐり抜けてきた名門校です。このような名門校は、学校が求める確たる生徒像があります。求める生徒像が変わらないから、入試問題にも大きな変更はないと考えることもできるのです。問題の予測ができない進学校より、予測がしやすい付属校のほうが対策が容易なのは、このような背景もあるのです。