近年、中学受験では「大学付属校」人気が高まり、激戦となっています。2021年入試でも、大学付属校の難化傾向が目立ちました。そんな中で「早慶GMARCH」「関関同立」をはじめとする、人気の「付属中学」の合格を勝ち取るにはどうすればいいのでしょうか?
「御三家をはじめとする進学校と同じ対策をしていてはダメ」というのは、「中学受験 大学付属校合格バイブル」の著者で、早慶をはじめとする大学付属校専門の中学受験塾を経営されている野田英夫氏。実は大学付属校の入試問題には、基本的な問題が多く進学校のような難問が少ないので、付属校に特化した対策をすれば偏差値が足りていない子でも逆転合格がかないやすいのです。
発売即重版となった本書から、知られざる付属校受験の実態や、合格のためのノウハウの一部をお伝えしていきます。
国公立と比べても遜色ない就職率
中学受験の合格やその先の大学への進学は、いずれ社会で活躍するための一つの通過点にすぎません。そういった意味でどの大学へ進めば自分の希望の職業につけたり、行きたい会社に入れたりするのかは、学校を選ぶ際の一つの目安となります。大学付属校の人気がこれだけ上がっているのは、大学への入学の困難さだけではありません。これらの私立大学が、就職に有利ということがわかっているからです。
一つの目安として、日経平均株価の採用銘柄や学生からの人気企業ランキングなどを参考に選出した「有名企業400社」への就職率(大学通信調べ)を見てみましょう。これらの学校の中で目を引くのが早稲田。37%の学生が主要400社に就職を果たしています。また青山学院も30%と高い数字です。続くのが近年GMARCHの中でも一歩抜きんでた印象のある明治の29%。続く立教は26%です。そして、学習院23%、中央22%、法政22%と並びます(慶應は就職者が3名以上の企業しか公開していないので、除外されています)。関東圏のいくつかの国立大学と数字を比べてみても、横浜国立大学が33%、東大が28%、首都大学東京(現・東京都立大学)が22%、筑波大学が19%、千葉大学が16%であり、GMARCHの数字が遜色ないことがわかります。
関西では、同志社が32%、関西学院が26%、立命館が24%、関西大学が20%。同志社が大きくリードしています。関西学院は在籍人数の少ない学校ですが、OBのネットワークが強いためか、それが就職率にも貢献していると考えられます。立命館は関西出身の学生は半分しかいない、全国区の学校です。数字で見ると学習院、中央、法政を上回ります。就職率では20%の関西大学ですが、志願者数がここ数年伸び続け、1位の立命館に肉薄していることは、覚えておきたいところです。関西圏のいくつかの国立大学の数字を見ると、大阪大学が36%、京都大学と神戸大学が31%、岡山大学が15%となっています。
また、こういった名門の私立大学には、慶應の三田会、早稲田の稲門会に代表されるような強力なOB会があり、社会に出てからもネットワーク作りに役立ちます。
有名私立大学での就職率が順調であることや将来のビジネス上のメリットが多いことも、付属校受験を後押しする要因の一つになっているかもしれません。(数字は2020年5月に公開されていたもの)