投資家は米連邦準備制度理事会(FRB)を信頼している。この3カ月で食料品とエネルギー品目を除いた消費者物価は2%上昇し、年率換算では8.2%と衝撃的に高い水準となった。米国債市場では、投資家からパニック的な売りが出るどころか買いが殺到し、10年債利回りは2月末の水準まで低下した。FRBへの信頼は絶対的なものだ。公正を期すと、FRBが言っている通り、インフレ率の急上昇は一時的なものである可能性が高い。経済活動の再開に伴って大量の累積需要が解き放たれた一方、供給のボトルネックが生産と流通を制限している。状況が正常化するにつれ、インフレ率は落ち着くはずだ。だが市場は、FRBが間違っている可能性についても考えておく必要がある。インフレ率がFRBの目標水準を上回り続けるリスクは、通常よりも明らかにずっと高い。一方、下回り続けるリスクは通常よりも低い。米国債市場では10年債利回りが1.45%しかないため、予想誤差を許容できる範囲はわずかしかなく、もしかすると完全にゼロかもしれない。
FRBのインフレ予想が外れたら?
市場にその影響を吸収する余裕なし
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