キャメロン・ディアスが初の母親役!
二世監督が紡ぐ家族の絆とは?

 インディペンデント映画の雄、故ジョン・カサヴェテス監督を父に、大女優ジーナ・ローランズを母に持つニック・カサヴェテス。父と同じ映画監督の道を進んだ彼は、『シーズ・ソー・ラブリー』(97)でカンヌ国際映画祭で高く評価され、『きみに読む物語』(05)では多くの人々を涙させた。そんな彼の最新作が、10月9日から公開される『私の中のあなた』だ。

 白血病の長女と、姉のドナーとなるため、遺伝子操作の末に生まれてきた妹を軸にした家族の物語で、親子の絆、生きることの意味、命の尊さが、真摯な眼差しで丁寧に描かれていく。キャメロン・ディアスが初の母親役に挑戦し、これまでのコミカルなイメージを覆す熱演を披露しているのも話題のひとつだ。

 困難に負けまいとする家族の姿が深い感動をもたらすこの作品を作り上げたニック・カサヴェテス監督に話を聞いた。

──キュートでコミカルな印象の強いキャメロン・ディアスが、この映画では、全編ほぼノーメイクで病気の娘をもつ母親を熱演し、新境地を開拓しています。彼女にこの役を演じさせようと思った理由は?

ニック・カサヴェテス
ニック・カサヴェテス 1959年5月21日生まれ。ニューヨーク出身。父は映画監督の故ジョン・カサヴェテス、母は女優のジーナ・ローランズ。俳優を経て『ミルドレッド』(96)で監督デビュー。翌年の『シーズ・ソー・ラブリー』がカンヌ国際映画祭で高く評価され注目を集める。05年の『きみに読む物語』は日米で大ヒットを記録。

監督:ハリウッドの女優はいつも同じような役を演じる傾向がありますが、僕としては、毎回同じ演技を見るのは退屈なんです。この役は、10代の難しい年頃の子どもを持つ母親の役。キャメロン自身は未婚で子どももいないのですが、今までやったことのないこの役を演じてくれて、とても嬉しかったですね。

 演じる上で、一番求めていたのは「強さ」です。この母親は、人の意見や他人の評価をまったく気にしないタフな人間で、「私の子どもは死にかけてはいない」と強く主張し続けます。キャメロンは、そういったことを細かく説明しなくても、すぐに理解してくれました。

 この映画での彼女の演技は素晴らしく、とても誇らしく思っています。