頭金は「1円」でも多く

梅田 頭金が少なかったとして、あとで家計に余裕ができたとき、まとめて返済することはできますか?返済を早める、みたいな。

日下部 可能ですよ。「繰り上げ返済」ですね。ただ気をつけてほしいのは、住宅ローン控除(*)適用中だと、控除額に影響したり控除が適用できなくなったりします。ローン残高が一気に減るので。しかも、「繰上返済手数料」がかかることがあるんです。ネット経由だと無料も増えましたが…
*条件を満たせば、年末時点に住宅ローン残高の1%を所得税・住民税から引ける制度

梅田 せっかく繰り上げても手数料がかかることがある…

日下部 それに、実際は教育費や医療費などで、突然の出費がかさんでなかなか返済を繰り上げるって難しいんです。だから、未来の自分に期待しすぎず、シンプルに頭金を1円でも多く払うようおすすめします。

梅田 じゃあ、「家を買いたいな」と思ったときから、貯金を始めたほうがいい?

日下部 はい。1円でも多く貯めましょう! 

「ボーナス払い」はやめたほうがいい

日下部 「ボーナス払い」も要注意です。ボーナス時に、ほかの月よりも多く住宅ローンを返す返済スタイルですが、社会情勢の変化でボーナス額が激減することもあるので。

梅田 ボーナスで返そうとするのは危険、と。

日下部 とくに2020年からのコロナ禍の影響で、急に返済が滞り、自宅を手放した人も出ています。「毎月の返済額を減らしたい」という気持ちが、仇になることもあるわけです。

梅田 返済の途中で、ボーナス払いをやめられないんですか?

日下部 変更できるかどうかは金融機関や住宅ローンの種類によって異なります。変更内容によっては、変更手数料や再度金融機関の審査が必要なことも。変更できても「ボーナス払い」 の分が毎月の返済額に上乗せされたり、返済期間が長引いたりして、借りたお金の残高が減るわけではありません。なので、はじめからボーナス払いをあてにせずに返済プランを 立てることをおすすめします。