米IT大手が政界の愛を失うまで その顛末Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

【ワシントン】ジョー・バイデン米大統領が米連邦取引委員会(FTC)委員長に左派の反トラスト法(独占禁止法に相当)専門家であるリナ・カーン氏を起用したことは、シリコンバレーがいかに米政界のお気に入りの座から転落したかを象徴する出来事だ。

 米議会では、民主党と一部の共和党議員が連携して、ハイテク大手の市場支配力を抑制する法案を進めている。司法省やFTCが実施している反トラスト調査に対しても、大きな支持が集まっている。調査の結果次第では、歴代政権が承認してきた買収を撤回させ、ハイテク大手に資産売却を強要する可能性もある。

 ホワイトハウスでも、バイデン氏はハイテク大手関係者の採用を避けている。カーン氏のFTC委員長就任で1つ明確になったことがある。バラク・オバマ政権の8年間にみられたような「ハイテク業界の黄金時代」に続編はないということだ。