法人税の国際最低税率、導入迫る米国の妙策Photo:WPA Pool/gettyimages

【ワシントン】法人税の国際的な最低税率に関する合意形成が進んでいるが、一部の国は低い税率を活用すれば企業を誘致できると考えて、この合意に加わらない可能性がある。米バイデン政権は、強力な「Shield(シールド)」によってこうした試みを阻止しようとしている。

 Shieldは「the Stopping Harmful Inversions and Ending Low-Tax Developments rule(有害なタックスインバージョン=節税を目的とした税率の低い国への本社移転=の阻止と税率引き下げ競争打ち切りのための規則)」の略語だ。バイデン政権は、このシールドを、世界の他の国々に対する税制上の脅しとして活用しようとしている。これはまた、ジャネット・イエレン米財務長官の協調外交の裏側でもある。

 米議会の承認が必要となるこの計画は、米消費市場の規模を武器に、他の国々に選択を迫るものだ。その選択とは、その国が最低税率を導入するか、さもなければ、その国の企業への米国の課税によってその国の税収が減少するのを容認するかというものだ。これは強力な武器であり、2010年の米税法改正と似た措置だ。それは、外国の銀行に対し、米顧客の国外口座の記録を米内国歳入庁(IRS)に報告することを義務付けるものだった。

 シールドは、米議会で幾つかの大きな障害に直面する可能性がある。また、外国政府や多国籍企業の抵抗に遭う恐れもある。

 デロイト・タックスのボブ・スタック氏は「この取り組みはその意図からして、シールド(盾)というより、ソード(刀)と呼ばれるべきものだ」と語った。同氏はオバマ政権下の財務省で、国際税制に関する仕事をした経験を持つ。