2019年の参院選広島選挙区を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反の罪に問われた元法相で前衆院議員の河井克行被告(58)に東京地裁は18日、懲役3年、追徴金130万円(求刑懲役4年、追徴金150万円)の実刑判決を言い渡した。国会議員の選挙違反事件や閣僚経験者の実刑判決は初めてではないものの、いずれも極めて異例。そもそも、法をつかさどる法相経験者が罪に問われたことが前代未聞だった。河井被告側は即日控訴したが、塀の向こうに落ちるか外に出られるか、ギリギリの綱渡りが続く。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
1億5000万円は
行方不明のまま
判決によると、河井被告は19年3月~8月、妻の案里氏(47)=公選法違反の罪で有罪が確定し参院議員を失職=を当選させるため、地元首長や議員、有力者ら計100人に投票と票のとりまとめを依頼する目的で計約2870万円を配った。
高橋康明裁判長は、河井被告が案里氏の選挙を取り仕切る総括責任者だったと認定。実刑とした判決理由で「広島県全域にわたる極めて大規模な買収で、民主主義の根幹である選挙の公正を著しく害する悪質な犯行。同種の選挙買収の中でも際立って重い部類に属し、反省の態度を考慮しても実刑に処するのが相当だ」と厳しく指弾した。