2019年7月の参院選広島選挙区を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反(買収、事前運動)の罪に問われた参院議員、河井案里被告(47)の判決公判が21日、東京地裁で開かれ、高橋康明裁判長は懲役1年4カ月、執行猶予5年(求刑1年6カ月)を言い渡した。夫の元法相、克行被告(57)=公判中=と共に、国会議員夫妻がそろって逮捕・起訴されるという憲政史上初の事件。発端となった公設秘書の公判は既に確定し、広島高検が案里被告の当選無効を求める行政訴訟を広島高裁に起こしている。逮捕前から一貫して事実関係を否定し、最終陳述では「私を信じて」と身の潔白を訴えた案里被告だったが、外堀は完全に埋まり、失職は時間の問題だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
夫妻とも買収の趣旨を否定
起訴状によると、案里被告は克行被告と共謀して19年3~6月、投票と票の取りまとめを依頼する趣旨で地元議員5人に現金170万円を供与。また、参院選公示前に選挙運動をした(※克行被告の起訴内容は同3~8月、地元の首長や議員、後援会幹部、選挙運動員ら100人に現金計約2900万円を供与。公示前に事前運動したとされる)。
案里被告は19年7月、参院選で初当選。克行被告は9月に法相に就任したが、翌10月に案里被告の公設秘書らが運動員に違法な報酬を支払っていた疑惑が浮上したのを受け、辞任していた。
公設秘書らは公選法違反容疑で逮捕・起訴され、20年6月に広島地裁で執行猶予付き有罪判決を受けた(同11月、最高裁で確定)。一方、河井夫妻は6月、東京地検特捜部に逮捕され、7月に起訴。8月の初公判ではいずれも起訴内容を否認し、無罪を主張していた。