ドーパミンによって好奇心が生まれ、「やりたい!」という心理状態になることができます。好奇心は探究力を育む最初の一歩です。直接何につながるかわからなくても、子どもが何かに夢中になっていたら、それを途中で遮るのはやめましょう。

【共通点2】多くの習い事をやらせない

 2つ目は、“余白”を大事にしていて、幼少期にたくさんの習いごとをさせていないということです。

 私はこれまで有名人から一般の親子まで、多くの方々を取材してきましたが、大きくなって自分の好きなことを見つけて、意欲的に活動している人の子どもの頃の習いごとの数はせいぜい一つか二つ。幼少期は遊びが中心で、「詰め込まれていない人」が多いのです。

 昆虫食を開発して注目を集めている篠原祐太さんも、その一人です。小さい頃から、自宅近くの野山を駆け回り、虫捕りをして遊び、幼稚園では昆虫博士と呼ばれるほど、虫が大好きな子どもでした。昆虫を食べてみたこともありましたが、それは言ってはいけないと子どもながらに思い、誰にも言えなかったそうです。

 大学生になったある日、FAO(国連食糧農業機関)が「昆虫食は食糧難を解決する一つの切り札になる」というレポートを出したことを知って、「自分の好きなものが地球を救う可能性がある」と勇気づけられ、小さい頃に昆虫を食べていたことを告白。

 その後は小さい頃の経験が花開き、昆虫食を開発するに至ります。今では、昆虫食を産業として成り立たせたいと起業し、期待のワカモノとして、マスコミにも何度も取り上げられるほど活躍をしていますが、その原点は、幼少期に野山を駆け回っていたことなのです。

 反対に、よかれと思って小さい頃から習いごとを詰め込んだ結果、大きくなってから問題を抱えることになってしまったという例も多いです。

 たとえば、幼少期から利発で、勉強もピアノも運動も得意だったあきこ(仮名)さん。親御さんは、せっかくの才能を伸ばそうと小さい頃から、ピアノと水泳教室、塾を掛け持ちして通わせていました。小学生になると、見込みがあるといわれて、遠くの有名なピアノの先生のレッスンにも通う生活が始まり、家でも練習時間を取るために睡眠時間を削ってピアノの練習を頑張っていました。

 しかし、だんだん夜は寝付けず朝は起きられないという状態に。どれも成果を出せなくなり、やる気自体がなくなり、自信も失って、結果的には高校を中退して引きこもることになってしまいました。このように、子どもの才能を伸ばそうとした結果、反対に追い詰めることになってしまったら元も子もありません。