売上OSを「利益OS」にする

 以上が、利益に対する「北の達人」の考え方を示したストーリーだ。

 これをつくった理由は2つある。

 一つは新卒社員に「お金とは何か」を考えてもらうこと。

 もう一つは中途入社の社員に、「なぜ利益が大事なのか」を考えてもらうこと。

 新卒者は、この内容をすぐに理解してくれ、反対に、

「世の中の会社はなぜ利益より売上を大事にするのでしょうか」

 と疑問を抱く。

 また、

「毎日の仕事の意味がわかりました」
「世の中の役に立ちたいので、ボランティアをしようと思っていましたが、一所懸命、目の前の仕事をすればいいとわかりました」

 という感想もある。

 中途入社の社員は、前職の影響で、売上重視の考えに染まっている人が多い。

 だから私は、パソコンの基礎システムであるOS(Operating System)になぞらえ、

「今までのOSでは『北の達人』のやり方は理解できないでしょう」

 と話す。

 売上をたくさん上げることが目的の行動と、利益をたくさん上げることが目的の行動ではまるで違う。

 だから、売上OSから利益OSに入れ替え、そのうえでこれまで経験してきたものをアプリとして載せてほしいと伝えている。

 また、日常業務で利益の大切さを忘れそうになった人がいたら、

「売上は誰でも上げられるから意味ないと、最初に話しましたよね」

と言っている。

 この話を経営者向けの講演ですると、

「自分たちが何のために利益を出すのか考えたことはなかった」
「利益を出すことが社会貢献になるとは考えたこともなかった」

 と言う人が多い。

 ぜひ本書で売上OSを利益OSに変えてほしい。