南シナ海の大海原を高速ゴムボートで横断する間、5人の若い男たちは上空や後方から追跡される気配がないかを絶えず警戒していた。その朝、澄み切った空の下、香港を出発した。持ち物はiPhone(アイフォーン)と、台湾まで数百キロの海路を進むための方位磁針のみ。外海に出ると波が急激にボートを揺らし、救命胴衣が外に放り出されたり、何人かが転倒したりした。5人の年齢は18歳~26歳。2020年7月に出発する前はほとんど面識がなかった。共通するのは全員が逃亡者で、自身は不当だと考える理由で訴追を受けていたことだ。2019年の香港民主化デモで果たした役割を考えると、実刑判決は避けられなかった。5人は台湾に到着し、その数カ月後には米国に渡り、亡命を申請した。渡米には米国務省が関与していた。