高齢者の登録が増加、YouTubeはインフラに

 まずは単刀直入に、コロナ禍におけるチャンネル登録者数や視聴回数の伸びについて、オガトレさんに聞いてみた。 

 「大きく伸びました。コロナ前の2020年2月までは登録者数10万人ほどでしたが、3〜5月で40万人まで増加。以降も増加のペースは衰えず、今(83万人)に至るという状況です」

 彼のチャンネルだけでなく、同様に視聴者数が増えたフィットネス系YouTubeは多いという。当時の人数の増え方について「少し戸惑うほどでした」と振り返る。

 オガトレさんは、理学療法士として6年以上、宮城県気仙沼市で病院に勤務。その後YouTuberとなった。視聴者の年齢層は満遍なく分布し、人口動態に近い形だという。もっとも多い年代は30〜40代女性、その次が40〜50代男性とのこと。「2番目にこの年代の男性が多いフィットネス系チャンネルは珍しいと思います」という。

 「フィットネス系は“痩せる”ことが主目的の動画が多いのですが、僕の場合はストレッチで体を柔らかくして、健康を作ろうというコンセプト。痩せる運動の動画もありますが、体を柔らかくすることに重点を置いているので、こういった視聴者の分布になっていると思います」

 ところで、視聴者の年齢層においては、この1年で変化があったのだろうか。こちらについても、オガトレさんはコロナ前後で違いが生まれているという。

 「視聴者層を見ると、コロナ禍で高齢の方の割合が増えてきました。その背景として、この時期に高齢の方がYouTubeを習慣的に見る傾向が強くなったと考えています。旅行などに行けなくなり、娯楽が限定されたのに加えて、今はテレビでもYouTubeを視聴できる環境が普及しています。そういった影響もあるのではないでしょうか」

 オガトレさんによれば、コロナ禍で高齢者向けの旅行チャンネルや園芸チャンネルなどの分野も勢いづいてきたという。この1年は、高齢者にYouTubeが普及した期間といえるのかもしれない。

 「高齢者に限らず、YouTubeの存在自体も1年ほどで大きく変わったと思います。昔はあくまでエンタメとして、いっときの時間を楽しむ動画が主流でしたが、今は日々の勉強やスポーツのレッスン、情報収集など、日常的に使うインフラツールになっていると感じます」