安倍総裁は6年前の首相時代、増税に頼らず、経済成長による増収で財政再建を重視させる「上げ潮」路線を取った。しかし、現在は自民党の経済政策を立案する「日本経済財政本部」の事務総長に「増税容認」の茂木敏充前政調会長を起用する一方で、事務総長代理には「上げ潮派」の塩崎恭久元官房長官を起用するなど、経済成長と財政再建をバランスさせる考えを示している。

 だが、具体的な個別政策の現状は、民主党同様お寒い限りだ。自民党が「100年安心」と訴え続けてきた現行の社会保障制度は国民の信頼を完全に失っている。2009年総選挙の時点で「政治的に敗北」してしまったものだ。また、「TPP参加問題」については、TPP反対を訴える族議員が、かつて自民党と共に自由貿易を推進してきたはずの財界代表に罵声を浴びせ続けている状況だ。政権復帰したらどうするつもりなのだろうか。

 更に、原子力政策については、安倍総裁が「われわれが安全神話の中に立って、原子力政策を推進してきた責任を痛感する」と、自民党政権時代の政策について反省の弁を述べた。しかし、いまだに今後の政策の方向性は見えてこない。自民党が、野田内閣の「2030年代に原発ゼロ」方針を批判するなら、まず自らの主張を明確にすべきだろう。

 要するに、民主党、自民党は次期衆院選に向けて「政策」を訴える以前に、過去の政策の「政治的敗北」から立ち直れていないといえる。今のままでは、次期衆院選で内容の濃い政策論争が行われるとは到底思えない状況だ。

政治家個人の経験値は上っている:
あえて「人物本位の候補者選び」を提案する

 結局、新党のポピュリズム的政策は国民に響かず、既存政党は過去の政治的敗北から立ち直れず、まともに政策すら提示できないとなると、次期衆院選で有権者はどのように投票すればいいのだろうか。

 民主党政権の3年間は、さまざまな失敗の連続ではあった。だが、あえてその意義を探せば、自民党長期政権下で政権を担当したことがなかった多くの政治家が、政府や与党の役職に就き、政策立案を経験したことだと考える。