ひろゆきが断言「一流経営者の成功論はすべて無意味」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
24万部の大ヒットを記録しているベストセラー1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。

「みんな東大に受かる」のウソ

――ひろゆきさんの発言の存在感が高まっていると思うんですが、どのように分析されていますか?

ひろゆき氏:一流経営者のアドバイスが役に立たないことがわかってきたんでしょうね。コロナ前というか、日常生活として普通に暮らしていたときって、「努力しろ」「行動しろ」という意見のほうが強くなるんですね。それが、有事の事態になったら逆転します。

 だって、入院している友達に向かって「もっと頑張れ」「努力は報われる」と伝えたって何の意味もないじゃないですか。むしろ、煙たがられるだけです。

――たしかに、出版業界から見ても、強いメッセージを伝える本はなかなか売れなくなってきている実感がありますね……。

ひろゆき氏:一流の経営者って、「200%やれ」「普通に努力すれば東大に受かる」「やり続ければ失敗しない」みたいな精神論を平気な顔で語るんですね。息を吐くように精神論が出てくる。

 それには理由があって、「自分たちはそれが自分の意志でできた」と信じているからです。

 でも、そこには様々な要因が絡んでいたはずです。「努力できる環境にいた」「親や学校が応援してくれた」「時代の流れにたまたま合った」など、いくらでも要因はあった。

 それなのに、「自分の努力が実を結んだんだ」と信じてやまないわけです。

成功者の言葉は、聞き流そう

――そういう言葉が刺さった時代もありましたが、今は違うということですかね

ひろゆき氏:はい。元々そういったアドバイスは聞き流すべきものだったんです。ただ、状況的にこれまでは聞き流せずにありがたがっていた時代でした。

 でも、コロナ以降、みんなが聞き流せるようになったんです。「何言ってるの? そういう状況じゃないでしょ?」ということを思っても平気になったし、それを言える時代になった。

 そうすると、今度はできるだけ「嘘を言わないこと」「自分をすごいと見せないこと」などが重要な価値観になったと思います。「私は裸なんです」と正直に言える王様こそが、本当の王様です。

 その時代の恩恵で、僕の発言がウケるようになったんでしょうね。だって、僕は本当に「2ちゃんねるがうまくいったのはたまたま」だと信じていますし、「東大なんて無理」だと思っていますし、「できないことはできない」と諦めていますから。一流経営者でもなんでもないです。

――「正直さ」が求められていますね。

ひろゆき氏:「これ、あなたはできないでしょ?」と言われてムッとしてやり遂げてしまうようなタイプの人は、それこそ何やってもうまくいきます。一流経営者は、みんなそのタイプですよ。でも、それを相手に同じように押し付けるのはよくないと思うんですよね。

 だから、コロナの影響で冷静になった今なら、精神論を聞き流せる態勢になっていると思うので、コロナ後もそれが続くといいんですがね。でも、喉元過ぎたら熱さを忘れるのが日本人のお家芸ですから、どうなることでしょう……。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、20万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。