「みどりの⾷料システム戦略」第1回:「若者に⽀持され、選ばれる農林⽔産業に変わらなければ持続性はない」枝元真徹・農林⽔産事務次官は訴える

農林水産省

――新戦略は、「2050年までに目指す姿と取組⽅向」と題して化学農薬や化学肥料などのテーマについて低減や拡⼤などの個別目標を⽰しています。これは「新戦略のKPI(重要業績評価指標)」と理解してよろしいですね。

枝元 例えば、化学農薬の使⽤量では50年までにリスク換算で「50%低減」、化学肥料の使用量では「30%低減」、また有機農業では「取組⾯積の割合を耕地⾯積の25%、約100万ヘクタールに拡⼤」などの目標を提⽰しました。

 いずれにしてもこれらのテーマの目標に共通するのは、⾃然本来の⼒を⽣かした多様な⽣産や加⼯の在り⽅を追究することと、地域にあるさまざまな資源を活⽤しておのずと環境負荷を減らす流れを創造することです。例えば放置竹林問題に悩む地域で、⽵を堆肥に転換するような技術を開発して竹林の適正な管理と⾃然に負荷がかからない持続的な農業栽培を確⽴するといったイメージです。現在は課題になっていることでも、技術⾰新を通じて課題を前向きな資源に変えていく。そうした個々の取り組みが本格的なものにならなければ、戦略も普及、定着しないと思います。

若者に⽀持されないような産業構造では持続性はない

――KPI(次ページ表組)を⾒ると、「これはかなり意欲的ではないか」と驚かされるものもあります。

枝元 具体的な目標値の設定については実現可能性の検証なしにはできません。その上で、農林⽔産省のそれぞれの関係部局で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論がありました。非常に高いレベルだが、いずれも実現し得る目標であると思います。

 次なる取り組みは、これらの目標を生産現場に納得してもらい、実現に向けて一緒に動いてもらえるようにすることです。現場の皆さんは、⽣産者の⾼齢化や環境問題の悪化など新戦略の背景については、まさに現実的な感覚で深く認識していらっしゃって、共有しやすい。しかしいざ改善に取り組むとなると、⾃分なりのやり⽅もありますから、具体的に何にどう取り組むかでは異論も多いでしょう。

――消費者も、むしろ巻き込んでいかなければなりませんね

枝元 消費者の皆さんにも⾃らの消費のあり⽅を再考していただき、それらが⽣産者や加⼯業者の変化を促していくような流れも創造しなければなりません。それは本当に⼤きな⼒になります。

――KPIは、⾷料システムサミットにおける「⽇本からの国際目標案の提⽰」という意味合いを持ちませんか。

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