認知心理学にはワーキングメモリー(作業記憶)という概念がある。脳は作業に必要な情報を一時的に記憶し、作業が終わると必要な情報と不要な情報を整理して、不要な情報は消す。その一時的な情報整理の作業を行う場所がワーキングメモリーだ。

 ワーキングメモリーで情報は整理され、記憶されるが、スマホを四六時中使っていると常にワーキングメモリーに新しい情報が入るため、整理する暇がない。そのため、記憶が定着せず、記憶力が落ちることになる。スマホは本当に記憶力を低下させるのだ。

サイレントモードにしただけで
利用者の半数が不安に

 スマホはとにかく気を散らせる。アメリカで2011年ごろから「FoMO」(Fear of Missing Out)とその反対の意味の「JoMO」(Joy of Missing Out)」という単語がはやっている。

 FoMOは情報を見逃す恐怖で、SNSで話題になったことを自分だけが知らない、LINEを使ったイベントの参加申し込みに自分だけ遅れるといったことを恐れる状態だ。反対に情報を追わないことをスタイルにするのがJoMOだ。

 FoMOに陥った人は、常にスマホをチェックしなければ不安に駆られる。

 グーグル社が12名の参加者(女性6名、男性6名)に自分の携帯電話をサイレントモードにしてもらい、24時間が経過した後にどのような状態だったかをインタビューした。

 結果は二分された。一方は、スマホから解放され、あまりストレスを感じなかった、あるいはリラックスして仕事ができたというもの。もう一方は、見逃したメールがないか15分おきにチェックした人や友達や恋人からのチャットに返事が遅れると怒られると心配した人、周りからの疎外感を感じた人もいた。

 たった1日、手元にないどころか、サイレントモードにしただけで、多くの人を不安に陥れる。それがスマホだ。