試料を分析してくれた神戸大学大学院海事科学研究科教授の山内知也氏はこう解釈する。

「焼却灰の濃度に比べてちょっと低すぎる。焼却炉に2年程度設置されていて、原発事故より1年くらい前から使われていたということですから、消音器の設備に近いところは汚染があまりなくて、外側に放射性セシウムによる汚染があったということなのでしょう。それが運搬や作業時に落ちたでしょうし、雨ざらしになっていたということなので、さらに外側の汚染されていたところが落ちてしまって、内側のあまり汚染のないところばかり採取してしまったのではないか。雨で流れる前や外側の粉じんだけを採取できれば、もっと高濃度だったかもしれません」

法適用未満なら対策不要か

 厚労省によれば、放射性物質への曝露防止などを定める労働規制は現状では、労働安全衛生法の「電離放射線障害防止規則(電離則)」と「東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(除染電離則)」の2つがある。

 今回の消音器修理では、除染作業ではないことから「除染電離則」は適用されず、可能性があるのは「電離則」となる。だが、電離則では「放射性物質」として扱う基準は、セシウムの場合1キロあたり1万ベクレル超だ。そのため、前述した1キロあたり計134.7~135.6ベクレルという付着物の分析結果や数千ベクレル単位という自治体による焼却灰の分析結果では対象外となる。

 また3カ月間の作業で1.3ミリシーベルトの放射線被曝がある場合(毎時2.5マイクロシーベルト相当)などに、管理区域として指定し、放射線の曝露防止や線量管理をすることになっている。

「そこは調査しないとわかりませんが、仮に3カ月の曝露要件や毎時2.5マイクロシーベルトの放射線量に満たないのであれば、被曝量は取るに足らない程度なので、線量管理や防護措置は必要ありません」(厚労省)

 つまり、3カ月で1.3ミリシーベルトの被曝がなければ、個人線量計で放射線の被曝量を管理することはおろか、防じんマスクなどによる防護措置すら必要ないのだという。

 だが、NPO「東京労働安全衛生センター」事務局長の飯田勝泰氏はこう反論する。

「100ミリシーベルト未満の被曝であれば、健康障害はないというのが厚労省の言い分で、これは国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づくもので厚労省独自の主張じゃないといつも言いますが、放射性物質による被曝はしきい値(一定濃度までは安全という値)がないというのがICRPの見解ですから、それ以下はいっさい健康影響がないとは言い切れないはずです」

 そのうえで、こう指摘する。