ミネラルウオーター市場が急拡大している。飲料総研の調べによると、2011年のミネラルウオーター市場は初めて2億ケース(1ケースは約12リットル)を超えた。12年も1~8月累計販売数でサントリーの「天然水」が前年同期比3%増、アサヒ飲料の「六甲のおいしい水」が同11%増、キリンMCダノンウォーターズの「アルカリイオンの水」が同11%増と大きく伸びている。
ミネラルウオーター市場は、500ミリリットルペットボトルの輸入品のブームをきっかけとして、2000年から07年まで右肩上がりで伸び続けてきた。だが、これも08年で頭打ちとなり、ここ数年は縮小傾向となっていた。それが再び上向いたのは、大型ペットボトルの低価格ミネラルウオーターが東日本大震災後に新たな市場を確保したからだ。
拡大画像表示
キリンビバレッジの調査によると、ミネラルウオーターの購入動機として最も多いのは「炊飯」「調理用」で、これは震災後からこれまでほとんど落ちていない。震災直後に水道水の放射能汚染不安で調理用の水をミネラルウオーターに切り替えた家庭は東日本で多い。現在では水道水からの放射性物質の検出は皆無で、料理に使っても全く問題はないが、子供を持つ家庭などでいまだにミネラルウオーターが使われている。また、災害非常時のストック用として、缶詰やコメなどと合わせて売られたり、ホームセンターなどでも販売されるなど、取り扱い売り場は拡大している。
しかし、このミネラルウオーターの大型ボトルという商品は、メーカーにとって最も利幅が薄い商品でもある。量販店での価格競争が激しいからだ。2リットルのペットボトル商品が、500ミリリットルのペットボトル商品の定価より安い100円以下で販売されるケースは珍しくない。一方、単価が高い500ミリリットルペットボトルの輸入ミネラルウオーターは各社とも苦戦。輸入もので国内で最もシェアの高いボルヴィックでも、1~8月の累計売上高で前年同期比18%減と大きく減った。