アフガニスタン駐留米軍では、2020年2月以降――つまり16カ月間――死者は出ていない。従って、新常態となった縮小規模で駐留を継続していれば、目に見えるコストは比較的小さかっただろう。一方、撤退に伴う人道面および戦略面の目に見えないリスクは、比較的大きい。では、撤退を余儀なくさせている米国内の現在のムードはどうだろうか。撤退の動きが既に始まっているため、今こうした問い掛けをするのは多分に言葉の遊びのようなものだ。米国防総省は先週、8月末までに撤退が完了するとの見通しを示した。ジョー・バイデン米大統領は以前、2001年9月11日の同時多発テロからちょうど20年となる日までに撤退が完了すると述べていたが、数週間早まることになる。米軍のアフガン侵攻はもともと同時多発テロがきっかけだった。