新型コロナウイルス後の勤務形態を巡って米ウォール街が割れている。社員をオフィスに呼び戻す企業がある一方で、今後も在宅勤務を認める企業もある。ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースの米銀巨人2行は、ニューヨークで週5日のオフィス勤務態勢を拡大するなど、強硬なアプローチを鮮明にしている。これによって優秀な人材を失う恐れがあるにもかかわらずだ。一方で、シティグループなどライバル勢は一段と柔軟な姿勢を売りにしており、有力なトレーダーやディールメーカーの引き抜きに余念がない。オフィス勤務を全面的に復活させるべきか、またどう実施すべきか。これは米企業全体が対応を迫られている問題だが、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏やゴールドマンのデービッド・ソロモン氏など、トップが自身の意見を強く主張する米銀大手にとっては、とりわけ厄介だ。