4つのタイプを理解する

 一般的に、人は情報を処理するために使う「代表システム」によって、主に次の4つのタイプに分けられます。

1. 視覚優位タイプ【見る】の人の特徴と傾向
高音、早口で話す傾向がある。雑音があっても、あまり気にしない。
「見る」「見て」といった視覚に関する言葉に反応しやすい。

2. 聴覚優位タイプ【聞く】の人の特徴と傾向
発音がきれい(ややラジオのアナウンサーのような感じ)、電話で話すのが好き、音楽を好むといった人が多い。雑音を不快に感じやすい。

3. 内部対話優位タイプ【考える】の人の特徴と傾向
セルフトーク(自分との内部対話)が多い。
このグループの人にとっては、論理的であること、筋が通っていることが重要。順序立てて考え、一歩一歩プロセスを踏むことを好む。

4. 身体感覚優位タイプ【感じる】の人の特徴と傾向
自分自身の直感やフィーリングを信頼し、人生を感性でとらえる。
ゆっくり、慎重に言葉を選んで話すことが多く、一文が比較的長く複雑になりやすい。

 ザックは目をつむって、リラックスしていました。その彼に、母親が繰り返し、もう目を開けて私のほうを見るように言うのです。

 私は、「全然かまわないんですよ。ザックは聴覚優位なんですね。私の目を見ていなくても、言っていることはよく理解しています」と言いました。

 ザックは、私の話を耳から取り入れて情報処理していました。目は閉じていましたが、耳は私のほうに向けていたのです。

 ザックには、話している相手のことを本当に見なくてもいい、ただ見ているふりをしてほしいと頼みました。

 私とザックは一緒に、とても楽しい2時間を過ごしました。私は聴覚優位の彼に合った言葉を使って話しました。

 帰り際、母親は、ザックがこんなに長い間じっとして興味を持ち続けられるなんて、と驚いていました。

 後日、母親が連絡をくれて、ザックがとうとう自分を本当に理解してもらえたと喜んでいたこと、母親もザックと話す時には聴覚優位的な言語を使うのを忘れないように精一杯努力していることを報告してくれました。

 ザックの行動も変化したそうです。もう前のように、欲求不満ではなくなったからです。