「人を雇う」「事業拡大」は
とにかく慎重に!

 どんな起業家の方でも、事業が軌道に乗り、現金をたくさん持つと、この5つのことを考え出します。順を追って見ていきましょう。

 まず(1)の「人を増やす」と(2)の「事業拡大」について。これは前回の連載で何度もお話ししてきたことですが、規模の拡大を狙って、安易に人を増やすと、「人を雇う→各種経費がかかる→赤字になる→さらに売上を上げなければならなくなる→また新しく人を雇う」というスパイラルから抜け出せなくなります。

「人を雇う」「事業拡大を目指す」の際は、とにかく慎重に、何度も考えてから行うようにして下さい。安易な拡大戦略では、会社は疲弊し、経営者はもちろん、そこで働く社員も不幸にしてしまいます。

 次は(3)の「オフィスの引っ越し」について。「立派なオフィスを構えたい」「一等地に引っ越したい」という、いわゆる「経営者の見栄」による引っ越しが、実は非常に多く行われています。

 私も最初は、「自宅兼事務所」からスタートしましたので、こうした気持ちはよくわかります。しかし、儲かったからといって、こうした理由で引っ越しをするのはやめておきましょう。会社の業績が悪くなる、あるいは資金繰りの問題が出てきたときに、一気に苦しくなります。