小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』をもとに、「儲かる人が最初に考えること」について、ライターの柴田賢三氏にご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「儲かる人」が最初に考えること・ベスト1Photo: Adobe Stock

父親が恐れる「娘の一言」

「お父さん、くさい!」

 いま、私が一番恐れている言葉です。

 娘が中学生になり、そろそろお父さん(私)と距離をとり始めているからです。

 まだ冒頭の言葉は言われていませんが、時間の問題でしょう。

 自分ではそれほど気になりませんが、50代半ばのおっさんですから、特有の臭いが出ているはず。

 そう、「加齢臭」というやつです。

「加齢臭」が生んだ大ヒット商品

 この言葉は、われわれ加齢臭世代が子どもの頃には存在しませんでした。

 AIに聞いてみると、

《1999年に化粧品メーカーの資生堂が、中高年特有の体臭の原因物質「ノネナール」を発見し、命名したのが始まり》

 とあります。

 詳しく調べると《発見したのは1998年》という記述もありますが、1999年には新聞でコラムニストが使っていたそうです。

「オヤジ臭」ではダメだった

「古本」や「古い畳」、または「枯葉」に似た臭いとされ、今では誰でも知っている言葉ですが、それまでは「オヤジ臭」なんて呼ばれていた時期もあります。

「オヤジ臭」という言葉は強すぎて、テレビのバラエティーでは使えてもニュース番組などでは使いにくい言葉でした。

 ところが、「加齢臭」という言葉になると、なんだか医学用語のような印象になり、新聞やニュース番組で使っても違和感がなくなったのです。

 結果、「中高年の男性が発する特有の臭い」の言語化に成功し、一気に市民権を得ました。

「名前」をつけると市場が生まれる

『小学生でもできる言語化』という本では、著者で作家の田丸雅智氏が「Z世代」や「推し」という言葉を挙げて、こう解説しています。

まだ名前のついていない新しいものや現象を言語化して、ひとくくりにするような名前をつけることで、その新しいものや現象をはっきりと認識できるようになって次の行動につなげやすくなります。

――『小学生でもできる言語化』より

 では、「加齢臭」という言葉を浸透させた資生堂は、どんな「次の行動」につなげたのか。

 対策商品を次々と開発して、大きなビジネスチャンスを掴んだのです。

「推し」という言葉もビジネスに転用され、巨額の“推し活市場”を開拓しました。

 言語化がうまくできるようになると、儲けにもつながる。

 自分も、なにか思いついて一儲けできるんじゃないか――。

 そんな夢を抱きながら、お父さんは今日も加齢臭対策グッズに頼り、娘からの残酷な一言を言われないように努力しています。

(本記事は、田丸雅智著『小学生でもできる言語化』をもとに作成しました。)