『LEON』『OCEANS』現在はYoutubeで人気のWEBマガジン『FORZA STYLE』など数々のメンズ誌で、活躍してきたファッションディレクター干場義雅さんの新刊『これだけでいい男の服』が、7月14日に発売。内容は、普段からハイエンドなアイテムを多数愛用する干場さんが、実際に投資価値があったと感じた洋服やアイテム、「これはクオリティが高いのに、コスパがいい!」とまとめ買いして、ほぼ毎日のように着ているものだけを、厳選して紹介するもの。本書のなかから、とくにビジネスパーソンへのおすすめを紹介していきます。普通のTシャツを着ていてもおしゃれな人と、なんとなくパッとしない人の違い、雨の日やクールビズで何を着ればいいのか? など、大人の男性のビジネスカジュアルのお悩みについてもお答えしていきます。
「普通の服」は、意外と探すのが難しい!
大人の男性には、長く使えるベーシックなものを、余裕をもって自分らしく着こなしてもらいたいと、僕はいつもお伝えしています。しかし、「普通の服」を買うこと自体が、意外と難しいことをご存じですか?
例えば、服は買いたいけど、何を買えばいいかわからない時。ファッション誌やネットを見たり、お店に行ったりして、何となく目についたものを買っていませんか? 知識がないと、いきなりここで落とし穴にはまってしまいます。
長年ファッション誌をつくってきた僕が言うのも心苦しいですが……、ファッション誌はトレンド(流行)情報の紹介をメインにしているので、載っているのは流行りものが多いのですよね。それに、お店では新商品の販売を優先するため、入ってすぐの一番目につく場所には、たいがい入荷したばかりの新商品を置いています。ですが、このことを知らないと、トレンドものや、デインものばかりを手にすることになります。店員さんも売ることが仕事ですから、「これは今期おすすめのデザインです」「こう合わせるといいですよ」とすすめてきますよね。
これは一見、ベーシックなものしか売っていないようなファストファッションのお店なども同様。無地のTシャツならどれも一緒でしょ? と思うかもしれませんが、あえて肩が大きく、袖が長くなっているなど、若い人向けに、そのときどきの流行を反映したシルエットのものが目立つ場所には置いてあるのです。
ですから、「シンプルな普通の服は、意識して探さなければ買えない」と覚えておいてください。
Tシャツやデニムは定番だからと、何も考えずに買っていたのでは、クセがあり合わせづらいものや、大人が着るにやや浮ついた印象のばかり買ってしまい、長くは着られませんし、よく女性が言っている「普通だけど、シンプルで清潔感があっていい感じ」という見え方にもなりません。
大人の男性は、まずこのことを知り、良いベーシックなアイテムを選ぼうと、意識することが大切なのです。
『これだけでいい男の服』では、大人が持つべき本当にベーシックなアイテムは何か、どこで買えばいいのかなど、ブランド名をあげ、写真付で具体的に紹介しています。季節やシーンに応じた着こなし例もありますので参考にしてみてください。この連載でも、僕のおすすめをどんどん紹介していきます。
ファッションディレクター、『FORZA STYLE』(講談社)編集長
1973年東京生まれ。雑誌『MA-1』、『モノ・マガジン』、『エスクァィア日本版』等、男性雑誌の編集者を経て、『LEON』、『OCEANS』など人気男性誌に創刊から関わり、“ちょい不良オヤジ”ブームをつくる。2012年に独立し、株式会社スタイルクリニックを設立。船旅を愛する男女誌『Sette Mari(セッテ・マーリ)』の編集長を務めるほか、テレビ、雑誌、ラジオ、トークイベントをはじめ、ブランドプロデュース等でも幅広く活躍中。