韓国には「七放世代」という言葉がある。「就職、恋愛、結婚、出産、マイホーム、夢、人間関係」を諦めた世代という意味である。

 韓国の若者は安定的な仕事を得られておらず、結婚は「ぜいたく」事である。特に文政権になってから青年の失業はより深刻になっている。さらに、出産となると20年の特殊出生率は0.84と3年連続で1.0を割り込んでおり、文政権になって特に悪化している。OECD平均1.61と比べると半分近くである。わけてもソウルでは0.64となるなど、住宅価格の高騰する地域で極端に低くなっている。

 これだけ見ても、女性家族部が家族や若者の支援という役割を果たしてこなかったことがわかる。それでは何をしてきたのか。

 韓国では慰安婦支援活動が巨大な産業になっており、正義連やその出身者と共生関係のある女性家族部はその解決を望んでいない。女性家族相も慰安婦支援活動や女性運動に参画してきた人が就くケースが多い。IMF危機の時には女性弱者の救済に力を入れるべきとの意見があったが、女性団体は、「それは国がすべきことで、女性団体がすべきことではない」として女性家族部は役割を果たさなかったという。

 朴槿恵(パク・クネ)政権が安倍政権と慰安婦問題で合意し、大半の元慰安婦がこれを受け入れたにもかかわらず、文大統領が「公式合意とは認められない」としたのはこうした女性団体が慰安婦問題の解決に反対してきたからであり、そうした考えを推進したのが女性家族部である。

 女性家族部が本来の役割を果たしているのであれば、女性にとって重要な省庁といえるだろう。しかし、最大の関心事が慰安婦問題などの政治活動、公金の配分では、何のために必要なのか疑問だ。

 文大統領は女性団体と相互に支援し協力してきた、女性団体の声を代弁する大統領である。したがって、女性家族部の廃止を訴えることは文大統領の政治姿勢を否定することにつながっている。