統一部の対北朝鮮政策は、米韓同盟や対中政策とも緊密な関係にあり、韓国のアジア外交にとって重要な位置づけであるが、李俊錫氏が指摘したような視点は欠けていた。より広い視点から北朝鮮を眺めていけば、今の文大統領の北朝鮮べったりの政策は大転換を迫られるだろう。

 李俊錫氏の統一部廃止の考えは、文大統領の対北朝鮮政策に対する強い「駄目出し」を意味しているものと考える。

女性家族部を
廃止すべき理由

 女性家族部は「女性政策の企画・総括、女性の権利増進などの地位向上、家族と多文化家族政策の樹立・調整・支援、健康家庭事業のための児童業務および青少年の育成・福祉・保護に関する業務を遂行する」省庁である。しかし、一部のフェミニストたちからも不要で解体すべきとの批判を受けている。

 文政権に対する若者の支持率は男性の方が圧倒的に低い。文大統領は自ら「フェミニスト大統領」と称し、女性の社会進出を支援してきた。しかし、20代男性の中には「女性は男性よりむしろ優遇されている」「徴兵制がない女性に比べ男性は不利」と考えている人が多い。筆者が韓国大使を務めていた頃、韓国の外交官試験合格者は6割が女性であった。徴兵制が影響しているのだろう。

 李俊錫氏は、公正な競争を実現するとして、党における女性・地域・青年の割当制廃止を公約に掲げた。「公正に競争できる環境を作りさえすれば、女性に不利にはならない」と強調し、20代男性たちの声を代弁した。「恋人がフェミニストとわかったら別れた方がいい」と考えている男性は72%に上り、フェミニズムに対する拒否感が強い。

 こうした状況が背景にあるため、女性家族部の存在意義に疑問が生じている。

 李俊錫氏は、女性家族部について「毎度、存廃論議に包まれ、女性政策だけでは象徴を維持できないため、家族、若者政策を付けた」と主張した。