著者はハーバード大学とスタンフォード大学に計11年在籍し、世界的権威の2大科学誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文が掲載されたスーパードクター。
帰国後、東京・錦糸町に「眼科 かじわらアイ・ケア・クリニック」を開設するやいなや、地元だけでなく、噂を聞きつけて全国各地から来院する患者が後を立たない。そんなカリスマ名医の初の著書『ハーバード × スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)から、誤解だらけの目の常識と自宅で気軽にできる一生モノの目の健康法を科学的な事実に基づいてお伝えする。(初出:2021/08/07 ※初出時より再構成しました)
※本稿は、『ハーバード × スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
目が痛い
A
「目が痛い」と訴える患者さんに、私はまず「痛いのは、まぶたですか、それとも眼球ですか?」と尋ねます。
Q
なるほど、では、まぶたが痛いときは、どんな病気の可能性があるのですか。
A
代表的なのは、細菌感染して小さなしこりができる「麦粒腫」(ばくりゅうしゅ)です。同じようにまぶたにコロコロしたふくらみができる「霰粒腫」(さんりゅうしゅ)は、原因がまぶたにある脂腺が詰まってしまうことで、あまり強い痛みを感じませんが、大きく腫れることがあります。
麦粒腫は、抗菌の点眼薬や軟膏、内服薬で治ることがほとんどですから「そのうち治るだろう」と強い痛みをガマンせず、早めに眼科を受診したほうがいいです。
また、まぶたが痛いと訴える患者さんに、ごくまれにですが、皮膚や筋肉のガンが見つかることがあります。年齢を重ねた人にわずかに見つかることがあるくらいですから、可能性は低いといっていいでしょう。
Q
「眼球が痛い」となれば、何か大変なことが起こっていそうですが。
A
そうですね、まず気をつけたいのが充血をともなう目の痛みです。眼球をおおっている「強膜」が炎症を起こす「強膜炎」の可能性があります。
特に、リウマチなど「膠原病」(こうげんびょう)の患者さんに発生することが多い病気で、何度もくり返すと強膜がどんどん薄くなっていきますから注意が必要です。
膠原病は、細菌などの異物から体を守る免疫機能の異常によって、本来守るべき自分の細胞や組織を攻撃してしまい、炎症などを引き起こす「自己免疫疾患」です。
Q
ほかにどんな可能性がありますか?
A
光がまぶしく感じたり、刺すような痛みがあったりする場合、外から入る光の調節をする「虹彩」(こうさい)に炎症を起こす「虹彩炎」の場合が多いです。炎症を抑える強めのステロイド点眼をして、症状が改善した後も一定期間点眼を続けなければなりません。
Q
「眼球が痛い」ときは、すぐに眼科を受診したほうがよさそうですね。
A
ドライアイの人は「目が乾く」と同時に「目の奥が痛い」と訴えることも多いです。それは、必ずしも重い病気がひそんでいるわけではありません。
目の表面の乾きなのに、なぜか目の奥が重く痛くなるだけなので、「目の奥に病気はありません」といっても、心配してなかなか納得してもらえないこともあります。
目が痛かったら
●まぶたにしこりができて痛む場合は、細菌感染している可能性が高いので、眼科を受診
●眼球に痛みがあり、充血してまぶしく感じたりするときも、眼科を受診
*目の痛みには治療が必要となる病気が隠れている可能性が高いので、速やかに眼科を受診
※本稿は、『ハーバード × スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。