『LEON』『OCEANS』など数々のメンズ誌で、活躍してきたファッションディレクター干場義雅さんの新刊『これだけでいい男の服』が、7月14日に発売しました。内容は、普段からハイエンドなアイテムを多数愛用する干場さんが、実際に投資価値があったなと感じたもの、「これはクオリティが高いのに、コスパがいい!」とまとめ買いして、ほぼ毎日のように着ているものだけを、厳選して紹介するというもの。この連載では本書のなかから、とくにビジネスパーソンにおすすめのアイテムや、ビジネスカジュアルのお悩みについてお答えしていきます。今回は、スーツにもカジュアルにも合う髪型にしたい場合、おしゃれな人はどんな風にオーダーしているのか? について、ご紹介していきます。
大人の男性におすすめの髪型は?
「どんなヘアスタイルにすればいいのかわからない」という悩みをよく聞きますが、似合う髪型選びは、自分の髪質や顔型を知り、理想のヘアスタイルを探すことから始まります。
なりたいスタイルを見つけたら、候補となる髪型の写真をいくつか持参し、プロに相談しましょう。口で伝えるよりも、写真を見せたほうが確実。僕の場合、スマホに取り込んだスーツ姿のセレブリティの画像や、自分で描いた髪型のイラストを見せながら、いつも相談に乗ってもらっています。
似合っていれば、どんなヘアスタイルでもいいかというと、そうでもありません。さまざまな観点から考えて、大人の男性は清潔感のあるショートカットがいちばんです。仕事はともかく、カジュアルな服には一見合わないように思えるかもしれませんが、そこはオーダーの仕方次第。カットの際、単に「短めに」と伝えるのではなく、「頭が立体的に見えるように」とお願いしましょう。
欧米人の顔立ちは頭が前後に長く、前から見た横幅が小さいのに対して、アジア人の顔は平べったいのが特徴です。スーツをはじめとする洋服は、こうした骨格を持つ欧米人に似合うようにつくられてきたわけですから、頭頂部や後頭部の髪の毛の長さを調整して、彼らのような立体感を出すことがポイントです。
整髪料を使うときも、この頭頂部、後頭部に立体感を出すことを常に意識しましょう。
スーツのときはサイドをスッキリさせて端整に見えるように、カジュアルのときは毛先を遊ばせてニュアンスをつければ違和感のないスタイルに仕上がります。
茶髪はあり? なし?
また、最近は男性も茶髪が許される職場が増えてきたのに伴い、ミドルエイジの男性も、白髪染めだけど明るくしたいという人が増加しています。けれど僕自身は、髪の毛はナチュラルな色のままのほうが素敵に見えると思っています。むしろ、きれいなロマンスグレーの白髪姿は、若い頃からの憧れ。
いつでも自然体でいたいと考えているからかもしれませんが、ヘアカラーをするのであれば、明る過ぎる色は避け、あくまでも仕事の常識から逸脱しないことが肝心。茶髪とはいえ、黒に近いダークブラウンまでがおすすめです。
今回は、髪型のお話をしました。『これだけでいい男の服』では、大人の男性のみだしなみはもちろん、大人が持つべき本当にベーシックなアイテムは何か、どこで買えばいいのか、選ぶときにチェックするポイントは何かなど、ブランド名をあげ、写真付で具体的に紹介しています。もちろん、季節やシーンに応じた着こなし方などもしっかりと写真で紹介しています。この連載でも、僕のおすすめをどんどん紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ファッションディレクター、『FORZA STYLE』(講談社)編集長
1973年東京生まれ。雑誌『MA-1』、『モノ・マガジン』、『エスクァィア日本版』等、男性雑誌の編集者を経て、『LEON』、『OCEANS』など人気男性誌に創刊から関わり、“ちょい不良オヤジ”ブームをつくる。2012年に独立し、株式会社スタイルクリニックを設立。船旅を愛する男女誌『Sette Mari(セッテ・マーリ)』の編集長を務めるほか、テレビ、雑誌、ラジオ、トークイベントをはじめ、ブランドプロデュース等でも幅広く活躍中。